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人事制度の道具箱

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-◇-野口 吉昭 著
  「コンサルタントの『質問力』」
              PHPビジネス新書 2008年 800円

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■ 本書の概要
 
 相手にとって「納得性」の高い課題解決策を一緒に考えていく方法として有効な「質問力」を身につける方法を、『仮説力』『本質力』『シナリオ力』という3つの切り口で解説しています。
 人事考課に関する面接を有効に進めたい時に役立つ一冊です。
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■ おすすめポイント

 「質問力」を高めることが、仕事の質を高めることにつながる。

 相手の抱える「問題」やその「原因」、そして「解決策」を質問によって聞き出し、相手の「実感」に直結した解決策を提示できることが、相手の「納得性」を引き出す。

 この一連の流れを創出するために発揮されるべき能力が「質問力」となる。

 この「質問力」は、『仮説力』『本質力』『シナリオ力』で構成されており、これらの能力を高めることによって、相手の「納得性」を引き出すことができる。

 まず、『仮説力』とは、事前の情報収集に基づく仮説を持って「質問」に臨む力をいう。一方で、その仮説は、実際の「質問」の場で柔軟に軌道修正されなければならない。

 次に、『本質力』とは、相手の話の中から重要な「ワンメッセージ」を引き出し、まとめ上げる力をいう。物事を俯瞰する視点(鳥の目)、細かい点まで明らかにする視点(虫の目)の使い分けがポイントである。

 最後に、『シナリオ力』とは、質問によって得た情報を、納得性の高い解決策の発見に向けてストーリー化する力をいう。「フレームワーク(SWOT分析、PPM分析、4P分析等)」を活用して整理していくことが必要である。

 「質問力」を発揮する場面の基本は、常に相手と解決策を探す「共同作業」をしているという立場を忘れないことである。

 
 人事考課に関する面接に際して、「短時間で中身の濃いものにしたい」「部下の考えを聞きたい」と考課者は常に考えているのではないでしょうか。そんな時にこの「質問力」を一つでも使ってみることで、部下の納得性を高めるきっかけが作れるかもしれません。


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# by e-team7 | 2012-02-27 15:44 | 書籍
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-Q-先日、考課者研修の中で「『上司評価』を、部下の『自己評価』を見てから
  付けるのか、見る前に付けるのか」という話題になりました。直接面接する
  立場ならではの意見だと思いますが、運用上どちらが望ましいのでしょうか。

-A-部下にとって納得性の高い面接を行うためにも、「見ないで付ける」運用が
  望ましいです。

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■ 「部下の評価を見たい」という”エラー”
 10年ほど前、考課者研修の中で「部下の自己評価を横に並べて、項目ごとに見比べながら上司評価を付けている」というお話を聞いたことがあります。その意見に”うんうん”と頷く参加者も見られました。

 一方で、見比べながら上司評価を付けている考課者の方は、部下との面接をとても苦手にしている傾向が見られます(実施しなかった方もいました)。

 これらの行動の背景には、「考課者として自信がない」「部下の行動をあまり覚えていない」という気持ちが隠されているように思えます。

 この「自信がない」「行動を覚えていない」というのは、以前ご紹介した『5つのエラー』が起こる”2大要因”にあたります。この「部下の評価を見たい」という気持ちも「エラー」の一つではないでしょうか。

 また、部下の評価に引きずられながら評価を行うと、面接の際に「なぜそう評価したか」がうまく説明できず、上司評価に対する部下の納得性も低下してしまいます。すると、考課者は、ますます評価したくなくなる(できなくなる)という悪循環に陥ってしまいます。
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■ 上司が自信を持って評価ができるポイントは?

 それでは、上司が自信を持って評価を行うには、日常業務の中でどのような点に注意すれば良いのでしょうか。

 そのポイントをまとめると、つぎのようになります。

  ・日頃の部下の行動を、簡単なメモ書きでも記録しておく
  ・部下との何気ないコミュニケーションの中から様子を読み取るようにする
  ・仕事に没頭する時間を少し空けて、部下から相談されやすい雰囲気を作る
  ・自分が持っている部下のイメージを一度リセットして、観察してみる
  ・中間面接を実施してみる
 

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# by e-team7 | 2012-02-21 10:38 | Q&A
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-◇- 『聴いて届ける人事行動』を心掛けよ   (社団法人日本能率協会 2011年9月)
   
 日本能率協会は2010年9月から2011年3月にかけて、人事担当者を対象に「シンプルな人事制度の実現に向けたアンケート調査(回答数:人事担当者156人)」を実施した。本調査は、現場の管理職や従業員が運用しやすい人事制度はどのようなものなのかを明らかにするために実施された。
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■ 記事要約

 現在の日本企業における人事管理をとりまく潮流は、大きく2つある。1つは、劇的に変化する外部環境や、熾烈な企業間競争に対応する人材を戦略的に育成する必要性が強まったこと。もう1つは、個々人の働く価値観が多様になり、きめ細かい人事管理が求められるようになったことである。

 今後、外部環境の変化や企業間競争が緩やかになるということはありえない。したがって経営陣は人事管理に対してよりいっそうの高度さやスピードを要求してくるであろう。

 今回の調査において、経営陣による人事管理への関与が深いほど、人事管理が緻密でより複雑なものになっていることが、統計的にも確認されたのである。

 この傾向が強まることにより、現場に近い人事・労務担当者の業務が増加し、運用が現場に任されていればいるほど、ラインのマネジャーにとってもその工数は膨大なものになり、本来業務に支障をきたす可能性も否定できない。

 こうした人事管理の実態を踏まえて、いかにマネジメントしていくか。これを考えるのに際して、本調査で注目したのは、人事担当者と他部署の従業員とのコミュニケーションについてである。

 他部署の従業員とのコミュニケーションとは、人事担当者が、目標管理の制度について説明をしたり、制度運用面について現場の負荷や感想などの意見を集約したりといったことである。この行動こそが「人事管理の膨張(人事管理の複雑化)」をマネジメントするうえで鍵となると、筆者らは考える。そこで、これを「聴いて
届ける人事行動」とした。

 まず本調査により、「聴いて届ける人事行動」が強まると「人事管理の膨張」がより進むという相関が見られた。一方で、「人事管理の膨張」は「人事管理の社外評価」を高めるものの、「人事担当者のストレス」をも高めるというジレンマも内包しているという傾向が確認された。だからこそ、このメカニズムを理解し、適正にマネジメントすることが「人事管理の膨張」によるジレンマの解消につながる。

 本調査結果からは「聴いて届ける人事行動」により、企業活動に対して3つのポジティブな効果が現れるという結果がでた。1つめは、「自社の人事管理への他部門評価」に良い影響を及ぼすことだ。2つめは、「人事部門のマンパワーの活用」にも良い影響を与えることだ。3つめは、人事担当者自身が仕事に対して高い意欲をもつようになることだ。

 以上をまとめると、「聴いて届ける人事行動」により、制度適用者である従業員がいきいきと働くことができるようになると同時に、人事担当者にとっても同様の働きがいを得ることができる。そして業務の増加も、むしろやりがいにつながっていると推察される。

 とはいうものの、「人事管理の膨張」が人事管理に対して負担を感じさせていることには違いない。

 ただし、ここで重要なポイントは、人事部門や従業員がそう感じていることが問題なのだ。逆接的ではあるが、この問題を解決するためにも「聴いて届ける人事行動」が有効だ。

 本調査では、人事部門が他部署の要望を把握している度合いが高いほど、他部署からの評価が高いという結果も出ている。これは、通常企業の営業活動で顧客の声を聴き、新たな製品を開発していくプロセスとまったく同じだ。

 人事にとっての”天使のスパイラル”とは、「人事管理の膨張」をある程度簡潔にするよう人事担当者と他部署とのコミュニケーションを図っていくこと(「聴いて届ける人事行動」)である。これらのコミュニケーションによって他部署からの人事部門の評価を上げ、人事部門内のマンパワーの最適化、人事の仕事への満足や誇りといったポジティブな効果と、シンプルだと感じられる人事管理を生み出し、良いスパイラルを築くだろう。

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□ 「現場の声を聴く」と運用がうまく進む

 よく、「人事の担当?大変だねえ~」という声を耳にします。「人事管理の膨張」という言葉が、じわりと社内に浸透していることを示す会話です。
 この記事では、人事担当者が従業員を”顧客”と捉え、その反響をバネに人事サービスを提供するというモデルが描かれています。「大変だねえ~」という感想をさらに深める方も多いことと思います。
 しかし、実際に人事制度を運用している企業様を見てみると、担当者が従業員に人事制度に関するアンケートを行ったり、定期的に意見交換の場を持っている組織では、人事制度が円滑に運用され、なおかつ年を追うごとに改善されているという傾向があります。
 人事制度の運用に課題を感じた時には、「意見を聴く」というプロセスを運用に組み込んでみてはいかがでしょうか。


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# by e-team7 | 2012-02-15 09:39 | 話題

第220号「定量目標」

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-◇-「定量目標」【てい-りょう-もくひょう】

  達成水準を数字で表すことができる目標のこと。
  「数値目標」ともいう。
  ⇔「定性目標」

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■ 目標を「定量」で表す意義

 人事考課のみならず、何かの目標を決める時は、できるだけ「定量」で表現することが求められます。

 それは、達成度を振り返る際に、その判断が「できた」「できなかった」という個々の主観によって行われることを避ける意味合いがあります。

 人事考課の場面において、面接で考課シートを見ながら、被考課者は「できたつもり」、考課者は「もっと頑張れるはずだ」という平行線の話し合いが起こることがよくあります。これは、達成度の判断基準を「量」で決めていないことに起因している場合がほとんどです。
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■ 「定量目標」の具体例

 定量目標の設定に当たっては、会社の業績や、被考課者の能力を的確に向上させられるような「量」を選ぶことが重要となります。

 具体的な「量」の例を挙げると、つぎのようなものがあります。
  ・前年度比○%アップ
  ・利益目標○○○万円
  ・新商品○○台販売
  ・残業○○時間削減
  ・○ヶ月で達成する
  ・勉強会を毎月○回開催する
  ・展示会に○○○人集客する
  ・○ヶ月間で廃棄をゼロにする
  ・○○でナンバーワンになる!
「○ヶ月間で売上○○円達成!」など、組み合わせて設定するのも効果的です。


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# by e-team7 | 2012-02-06 09:55 | 用語
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-◇-河合 克彦 著
  「一生懸命やっているのに評価されないと感じたとき読む本」
                   中央経済社 2011年 1,600円

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■ 本書の概要
 
 人事評価制度に対して、被評価者が「一生懸命やっている」のに「評価されないと感じ」ている理由について、人事評価制度の面および評価者の在り方の面から対策を解説しています。
 被評価者の「評価に対する納得性」が気になる場面で役立つ一冊です。
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■ おすすめポイント

 評価者研修の中では、「部下が”自分はがんばっているつもりだから”と上司評価の結果に納得しない」という戸惑いの声がよく聞かれます。

 この本では、この”がんばっているつもり”にスポットを当て、おもに被評価者の立場から、このようなすれ違いを防ぐための対策が書かれています。

 すれ違いを防ぐ2つのポイントは、「評価制度・評価基準への理解」「評価者・被評価者の在り方」に注意を払うことであると述べられています。

 具体的には、「評価制度・評価基準への理解」では、被評価者が(会社から)「自分に期待される役割(基準書や評価項目)」を理解した上で評価を行うことによって、被評価者の”自己流”による評価を防ぎ、評価者と同じ「企業・組織」という同じ”土俵”で納得性の高い評価が行えるとしています。

 また、「評価者・被評価者の在り方」については、被評価者に対して人事評価は”されるもの”という意識から”評価者と協力して行うもの”という意識への転換を求めています。被評価者が主体的に評価者と”協働”することで、評価者のスキルアップにもつながり、上司の評価そのものに対する被評価者の納得性も高まると強調されています。

 他にも、被評価者が身に付けるべき基本的なスキル(評価のタイプ、評価項目の選択、評価のエラー)が解説されており、研修の材料としても活用できる内容となっています。


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# by e-team7 | 2012-01-30 10:12 | Q&A

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