人事制度の道具箱

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第129号「日本の賃金」

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-◇-竹内 裕 著
       「日本の賃金―年功序列賃金と成果主義賃金のゆくえ」
                              (ちくま新書 2008年 700円)

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■本書の概要

 「ユニークで価値ある商品をタイムリーに顧客に提供する」企業であり続けるために必要な賃金制度とは何か。
 この命題に答えるべく、経営コンサルタントである筆者が、実際の指導経験やデータをもとにして、基本給・諸手当・賞与・退職金の現状と将来像を切り口鋭く考察しています。
 自社の業況と賃金制度とのバランスを考える際にとても参考になる一冊です。
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■おすすめポイント

 本書は、「日本の賃金」の歴史を振り返りながら、成果主義に傾倒しすぎた現在の賃金制度がどこに向かうのかを、様々な切り口から解説しています。

 まず、筆者は、賃金制度が社員の行動様式やモチベーション、ひいては組織の活性化に大きく影響するという立場から、「職能給(人基準)」と「役割給(仕事基準)」をバランスさせた基本給を提唱しています。創意工夫を重んじる日本的経営の長所を伸ばすためには、改善活動等による仕事の拡がりを反映しにくい「職務給」や、業績に反映されないプロセスが見落とされる「業績給」の適用には限界があると述べています。

 また、諸手当の見直しでは、企業における各種手当の導入状況の時系列データを見ながら、基本給を補完する役割を持たせることの必要性や、廃止時の具体的な実務について実践的に解説されています。

 そして、賞与や退職金については、給与との関係を見ながら、その位置づけをどのように考えるか、自社なりに再検討する余地があると述べられています。


 本書の中で筆者は、『賃金の納得性を高めるには公平性、安定性、刺激性のバランスがとれていること、その中でも安定性を最も重視すること』という考え方を基本に据えています。仕事の性格や責任を「公平」に判断し、生計費を考慮した「安定」的な給与体系をベースに、人事考課の反映で「刺激」を与えるというサイクルを整えることが、長く運用できる賃金制度のポイントかもしれません。



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by e-team7 | 2009-10-26 10:00 | 書籍
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Q:先日、社内で考課者研修を行いました。実際に運用している考課表を使って実施したのですが、各自が出した結果がバラバラで、今後の運用が不安になりました。このバラバラを統一するにはどうすれば良いですか?

A:まずは、そのバラバラの原因を明らかにし、継続的な考課者研修でその原因の一つひとつを「自社ルール」に変換していきましょう。

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評価がバラバラになる原因は?

 様々な企業で考課者研修を行っていると、参加者の評価結果がバラバラになる原因には、規模・業種を問わず、いくつか共通したものがあるように思えます。

 代表的な原因としては、つぎのようなものが挙げられます。

  (1)等級・職務ごとに求められる仕事・能力のレベル(定義)がわからない
  (2)評価基準の標準(普通)レベルがどこかわからない
  (3)評価の対象となる行動であるかどうか判断できない
  (4)評価することに自信がない


 具体的には、「係長に求められる仕事ぶりって、どの程度できたら標準?」とか、「5段階評価の『普通』って3?」、「飲み会への参加って協調性で評価して良いの?」「自分ができていないのに、部下を評価して指導できるの?」といった声をよく耳にします。
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考課者研修による「バラバラ対処法」とは?

 前述した「評価バラバラの原因を明らかにする」ことも、「その原因に対処する」ことも、考課者が一同に集まる考課者研修を通して行うことが効果的です。

 まず、第1回目の考課者研修では、「評価バラバラの原因を明らかにする」ことに集中してみましょう。
共通の題材(ビデオ教材、自社の考課表など)を使い、評価の際の着眼点の違いや、評価しての感想(難しかった点、迷った点など)を出し合いながら、参加者同士でバラバラ原因の共有化を図ります。

 次に、第2回目以降では、いよいよ「その原因に対処する」ことに取り組んでいきます。
第1回目で出し合ったバラバラ原因を1つ1つ吟味したり、自社の制度に対する質疑応答を行ったりしながら、参加者全員で自社の「オリジナルルール」作りを進めます。

 具体的には、「評価基準の標準は『B』とする。これは、"この等級だったら、まあこれくらい出来て当た前"というレベルのことである」「わが社は、社内イベントの出席状況を評価の対象にする」といった大きなルールから決めていき、必要に応じて、迷いやすい評価項目に注釈を付けるなど、運用を円滑にするための工夫を加えていきます。


 とは言え、考課者同士の評価のバラバラを「完全に揃える」ことは至難の業です。定期的に考課者の集まる場を設け、考課の練習やルールづくりを通して、継続的に(あわてずに)意識の統一を目指していくことが大切です。


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by e-team7 | 2009-10-19 11:05 | Q&A
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-◇-「ビジネスパーソンの『待ち時間』意識調査」
                     (シチズンホールディングス株式会社 2009年8月)

   ・調査期間 :2009年4月10日~12日
   ・調査対象 :首都圏のビジネスパーソン
   ・調査方法 :インターネットによる調査
   ・回答数  :400名(20代~50代以上:各年代とも男女50名ずつ)
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■ 公共施設などのイライラタイム

               第1位      第2位      第3位
  (1)総合病院     30分(39.0%)  1時間(30.5%)  45分(15.8%)
  (2)役 所       10分(33.3%)  15分(33.0%)   20分(13.8%)
  (3)金融機関ATM    5分(45.5%)   3分(24.3%) 10分(23.3%)

 前回(2003年)の調査よりも、イライラするまでの時間が長くなる傾向が見られます。
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■ 日常生活のイライラタイム
 
              第1位       第2位      第3位
  (1)エレベーター待ち   1分(29.0%)   30秒(24.8%)  1分以上(23.5%)
  (2)レジ待ち      3分(33.8%)    5分(22.3%)    2分(18.3%)
  (3)恋人を待つ(屋内)  30分(36.0%)   1時間(18.5%)  20分(17.3%)
  (4)恋人を待つ(屋外)  10分(28.0%)   30分(25.0%)  20分(23.8%)
  (5)ランチメニュー待ち 10分(41.3%)   15分(29.0%)   20分(11.0%)

 日常生活では、女性の方が気長に待つ傾向があります。男性は、(5)のランチが運ばれて来るまでの時間にイライラしやすい傾向が見られます。
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■ 携帯・パソコンのイライラタイム
 
                 第1位      第2位     第3位
  (1)パソコン立ち上げ    1分(39.8%)  30秒(21.8%)   2分(21.5%)
  (2)携帯から折り返し電話 10分(23.8%)  30分(20.0%)  5分(19.8%)
  (3)携帯メール返信     5分(22.3%)  10分(21.0%)  30分(20.5%)
  (4)パソコンメール返信 1時間以上(33.8%) 30分(19.3%)  1時間(13.3%)

 前回(2003年)の調査に比べて、気長に待つ傾向が見られますが、(2)の携帯からの折り返し電話に対しては、女性の方がイライラしやすい傾向が見られます。
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□ 社内では女性に素早いリアクションを?

 この調査を見ると、比較的社外では男性が短時間でイライラ、社内では女性が短時間でイライラしているような感じを受けます。
 女性からの電話やメールに素早く対応することが、社内のコミュニケーションの円滑化につながるのかもしれませんね。


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by e-team7 | 2009-10-13 10:29 | 話題
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-◇-「サラリースケール」【salary-scale】

  給与体系の基本的な考え方や、具体的な額などを図やグラフで表したもの。
  関係者や社員のコンセンサスを得るために必要な資料の一つとも言える。

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■ 給与体系を「見える化」する考え方

 「サラリースケール」とは、
 直訳すると”給与の物差し・大きさの程度”という意味になります。

 人事制度では、賃金制度の体系(能力給・業績給などの基本的な考え方、等級ごとの給与額の幅、昇給ピッチ等)について、図やグラフで表現したものを「サラリースケール」と呼んでいます。
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■ 「サラリースケール」作成の流れ

 (0)賃金制度の基本体系(能力給・職務給・業績給等の組み合わせ)を決める

 (1)形を決める(それぞれについて適切な「型」を選ぶ)
   1)レートの幅
      ・シングルレート(等級・職務ごとに単一の給与額を当てはめる)
      ・レンジレート(等級・職務ごとに給与額の上限・下限を決める)

   2)等級間の開き
      ・開差型(隣り合わせた等級・職務の給与額の上限と下限に開き
           を持たせる)
      ・接続型(隣り合わせた等級・職務の給与額の上限と下限を同じ
           にする)
      ・重複型(隣り合わせた等級・職務の給与額の一部を重複させる)

   3)等級・職務内の昇給ピッチ
      ・凸型(習熟度が最も高い中位のピッチを大きくする)
      ・凹型(その等級に入って来た人・次の等級に昇格しそうな人の
          ピッチを大きくする)
      ・直線型(等級内で上位に位置するほどピッチを大きくする)

   4)等級・職務間の昇給ピッチ
      ・逓増型(等級や年数等が上がるにつれてピッチを大きくする)
      ・低減型(若い等級や年数のピッチを相対的に大きくする)
      ・S字型(中堅の等級や年数のピッチを相対的に大きくする)

 (2)数字(具体的な額)を当てはめる
    現有社員や世間相場などを参考にしながら、図に大まかな数字を入れる

 (3)シミュレーションをする
    出来上がった「サラリースケール」を給与原資や個々の社員などに当て
    はめて、自社で実際に運用できるかどうか検討しながら修正していく


 長年にわたって賃金表を運用している企業では、賃金表の書き換えや賃金体系の見直しに際して、表だけを睨みながら「ああでもない、こうでもない」と検討している様子がよく見られます。新しい体系を作る時だけでなく、現在の状況を把握する時にも「サラリースケール」を活用してみてはいかがでしょうか。


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by e-team7 | 2009-10-05 09:21 | 用語

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