第234号「はじめての人的資源マネジメント」
-◇-佐野 陽子 著
「はじめての人的資源マネジメント」
有斐閣 2007年 1,900円
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■ 本書の概要
採用から配置、評価、給与、コミュニケーション、ワークライフバランスまで、企業の人材管理のこれからの方向性を、他のアジア諸国・アメリカ・欧米との比較を通じて明らかにすることを試みた本です。
他社の状況を参考に人事考課制度・給与制度を見直したい時におすすめの一冊です。
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■ おすすめポイント
本書は、採用から退職、日常のコミュニケーションに至るまで、「人事管理」を取り巻く現状を統計資料等から読み解き、その特徴と将来の方向性を明らかにしようと試みている点にその特徴があります。
中でも、「成果主義」「人事考課」「定期昇給」「賞与」については、日本ならではの考え方やルールが顕著に表れていることが、各種調査の資料をもとに解説されています。
例えば、「人事考課」。
本書では、「人事評価」ではなく「人事考課」という言葉が普及していること自体が日本的であると述べられています。
また、日本の人事考課は、主に「昇給」「賞与」「昇格」を目的としているのに対して、アメリカの人事評価では「職務遂行度の改善」「業績に基づく給与配分の決定」「仕事の目標を知らせる」ことを目的としている点に大きな違いが見られます。
そして、その評価基準(項目)の内容についても、日本は「能力」や「態度」といった業務プロセスを重視するのに対して、アメリカでは「業務の質」「業務の量」などの結果を重視していることがわかります。
この他にも、「給与」について、「家族手当」「住宅手当」は欧米の企業にはないものであり、「賞与」を重視する傾向もアジア諸国独自のものであると述べられています。
最後に、今後の人事制度の方向性として、「成果配分を重視していくと、究極はパートナーシップ関係に行きつくだろう」ことが強調されています。これは、これからの人事制度の運用が、会社と従業員との良好な関係を作る方向にシフトしていくことを示唆しています。
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