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人事制度の道具箱

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第221号「聴いて届ける人事行動」

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-◇- 『聴いて届ける人事行動』を心掛けよ   (社団法人日本能率協会 2011年9月)
   
 日本能率協会は2010年9月から2011年3月にかけて、人事担当者を対象に「シンプルな人事制度の実現に向けたアンケート調査(回答数:人事担当者156人)」を実施した。本調査は、現場の管理職や従業員が運用しやすい人事制度はどのようなものなのかを明らかにするために実施された。
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■ 記事要約

 現在の日本企業における人事管理をとりまく潮流は、大きく2つある。1つは、劇的に変化する外部環境や、熾烈な企業間競争に対応する人材を戦略的に育成する必要性が強まったこと。もう1つは、個々人の働く価値観が多様になり、きめ細かい人事管理が求められるようになったことである。

 今後、外部環境の変化や企業間競争が緩やかになるということはありえない。したがって経営陣は人事管理に対してよりいっそうの高度さやスピードを要求してくるであろう。

 今回の調査において、経営陣による人事管理への関与が深いほど、人事管理が緻密でより複雑なものになっていることが、統計的にも確認されたのである。

 この傾向が強まることにより、現場に近い人事・労務担当者の業務が増加し、運用が現場に任されていればいるほど、ラインのマネジャーにとってもその工数は膨大なものになり、本来業務に支障をきたす可能性も否定できない。

 こうした人事管理の実態を踏まえて、いかにマネジメントしていくか。これを考えるのに際して、本調査で注目したのは、人事担当者と他部署の従業員とのコミュニケーションについてである。

 他部署の従業員とのコミュニケーションとは、人事担当者が、目標管理の制度について説明をしたり、制度運用面について現場の負荷や感想などの意見を集約したりといったことである。この行動こそが「人事管理の膨張(人事管理の複雑化)」をマネジメントするうえで鍵となると、筆者らは考える。そこで、これを「聴いて
届ける人事行動」とした。

 まず本調査により、「聴いて届ける人事行動」が強まると「人事管理の膨張」がより進むという相関が見られた。一方で、「人事管理の膨張」は「人事管理の社外評価」を高めるものの、「人事担当者のストレス」をも高めるというジレンマも内包しているという傾向が確認された。だからこそ、このメカニズムを理解し、適正にマネジメントすることが「人事管理の膨張」によるジレンマの解消につながる。

 本調査結果からは「聴いて届ける人事行動」により、企業活動に対して3つのポジティブな効果が現れるという結果がでた。1つめは、「自社の人事管理への他部門評価」に良い影響を及ぼすことだ。2つめは、「人事部門のマンパワーの活用」にも良い影響を与えることだ。3つめは、人事担当者自身が仕事に対して高い意欲をもつようになることだ。

 以上をまとめると、「聴いて届ける人事行動」により、制度適用者である従業員がいきいきと働くことができるようになると同時に、人事担当者にとっても同様の働きがいを得ることができる。そして業務の増加も、むしろやりがいにつながっていると推察される。

 とはいうものの、「人事管理の膨張」が人事管理に対して負担を感じさせていることには違いない。

 ただし、ここで重要なポイントは、人事部門や従業員がそう感じていることが問題なのだ。逆接的ではあるが、この問題を解決するためにも「聴いて届ける人事行動」が有効だ。

 本調査では、人事部門が他部署の要望を把握している度合いが高いほど、他部署からの評価が高いという結果も出ている。これは、通常企業の営業活動で顧客の声を聴き、新たな製品を開発していくプロセスとまったく同じだ。

 人事にとっての”天使のスパイラル”とは、「人事管理の膨張」をある程度簡潔にするよう人事担当者と他部署とのコミュニケーションを図っていくこと(「聴いて届ける人事行動」)である。これらのコミュニケーションによって他部署からの人事部門の評価を上げ、人事部門内のマンパワーの最適化、人事の仕事への満足や誇りといったポジティブな効果と、シンプルだと感じられる人事管理を生み出し、良いスパイラルを築くだろう。

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□ 「現場の声を聴く」と運用がうまく進む

 よく、「人事の担当?大変だねえ~」という声を耳にします。「人事管理の膨張」という言葉が、じわりと社内に浸透していることを示す会話です。
 この記事では、人事担当者が従業員を”顧客”と捉え、その反響をバネに人事サービスを提供するというモデルが描かれています。「大変だねえ~」という感想をさらに深める方も多いことと思います。
 しかし、実際に人事制度を運用している企業様を見てみると、担当者が従業員に人事制度に関するアンケートを行ったり、定期的に意見交換の場を持っている組織では、人事制度が円滑に運用され、なおかつ年を追うごとに改善されているという傾向があります。
 人事制度の運用に課題を感じた時には、「意見を聴く」というプロセスを運用に組み込んでみてはいかがでしょうか。


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by e-team7 | 2012-02-15 09:39 | 話題

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