第107号「いつから評価を賃金に反映する?」
-Q-昨年から人事制度づくりを進めており、評価制度がほぼ出来上がってきました。そこで質問ですが、制度を適切に運用するためには、初年度から評価結果を賃金に反映させなければならないのでしょうか?
-A-すぐに反映させる企業もあれば、社内が評価の運用に慣れるまで待ってから反映させる企業もあります。人事制度づくりの「目的」を振り返り、かつ、組織風土に合った選択を行うことがポイントとなります。
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■ 事例を見てみると・・・
これまでお手伝いした企業を振り返ると、賃金を営業実績に適切に連動させるために業績評価中心の評価制度を作ったところ、経営理念を浸透させるために目標管理中心の評価制度を作ったところなど、実に様々なケースがありました。
前者の場合は、初年度から評価を賃金に反映させましたし、後者はまず経営理念の周知を図り、賃金に反映させない評価を運用しながら2~3年間「慣らし運転」を行っています。
この2社の違いは何でしょうか。
それは、人事制度を策定する「目的(~させるために)」が異なっているという点にあります。
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■ 人事制度の「目的」に応じて柔軟な運用を
人事制度づくりには、理念→評価→賃金→教育という標準的な流れがあります。しかし、この流れを最初から確実に運用できる組織は数少ないように思えます。実際に、この流れ通りに運用しようとして、本来の「目的」を忘れ、運用の方が「目的」化している組織も少なくありません。
そこで、人事制度を適切に運用するためには、標準的な流れを一旦横に置いて、この制度を作った「目的」や、組織風土(管理職とその部下との間に信頼関係があるか、賃金に差をつけることを受け入れられる雰囲気かどうかなど)を考えながら、どれくらいの期間で、どのような段階を踏みながら進めていくべきかをまず最初に決定しておくことが大切です。
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