第105号「人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門」
-◇-亀田 高志 著
「人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門」
(東洋経済新報社 2009年 1,700円)
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■ 本書の概要
景気の後退や雇用情勢の悪化等に伴って、社員の「メンタルヘルス」をいかに保つかが、企業を存続させるもう一つの鍵であると言われています。
この本では、産業医でもある筆者が「メンタルヘルス不調」と呼ばれる症状とその対処法をわかりやすく解説し、加えて、コミュニケーションや人事評価等の観点から、人事部門や管理職が取るべき対策について豊富な図表を活用しながら具体的に解説しています。
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■ おすすめポイント
「メンタルヘルス不調」とは、「うつ病」「心身症」等の「ココロの健康」の不調を言います。
このような「メンタルヘルス不調」は、個人レベルの仕事の能率低下だけでなく、同僚・上司・得意先・人事担当者に「負担増」という影響を与え、最終的には組織における事業活動そのものにまで及びかねません。
そこで、企業に「メンタルヘルス対策」の必要性が生じてきますが、これをスムーズに進めるためには「人事部門によるイニシアチブ」が不可欠です。
具体的には、メンタルヘルスに関する方針の策定、対策のキーパーソンとなる管理職への研修、社員のキャリア開発、職場のコミュニケーションの円滑化、評価・報酬制度の適正化、ワークライフバランスの確保などが挙げられています。
これらの対策の中で、人事評価制度・報酬制度に関わる部分をピックアップしてみると、評価制度については「不調を理由に手心を加えるよりも、不調者の職務能力を回復・向上させることのほうが、会社にとってはるかに有益」であるため、あらかじめ設定した目標の達成度を客観的に評価すべきであると述べられています。
また、報酬制度については「(やりがいや自己実現のような)内的な報酬の大きい職場では、たとえ仕事の要求度が高くてもストレスの感じ方は軽く」なり、「メンタルヘルス不調」の早期予防に効果的であると強調されています。
「メンタルヘルス対策」とは、組織を挙げて「活性化した職場を作る」ための努力を重ねることである、ということが、全体を通じて強く伝わってくる一冊です。
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